企業を拡大していくためにはどの市場に対してどれくらいの資源を投入するかなどの戦略が必要になってきます。
経営戦略の中でも最上段に位置するのが成長戦略です。
成長戦略は企業全体を対象とした戦略で製品・市場を考慮してどこでどんな事業を行っていくかを決定します。
成長戦略を検討・実施するための手法、フレームワークとして以下のようなものがあります。
上記のそれぞれを組み合わせて自社に最適な戦略を実施していきます。
企業の成長戦略とは?
成長戦略とは経営戦略のうちの1つです。
経営戦略は大きく3つの戦略にて構成されています。
- 成長戦略(企業戦略)
- 競争戦略(事業戦略)
- 機能戦略
成長戦略は企業全体を対象とした戦略で企業の製品・サービスと市場を考慮してドメインの決定に関わる全社的戦略です。
規模が大きい企業では複数の事業を営んでいることが多いので各事業をどう組み合わせてシナジーを生み出していくのかを考えていくのが成長戦略になります。
また経営資源をいかに配分するか新規事業への投資や衰退している事業からの撤退なども決定します。
アンゾフの成長マトリクス
アンゾフの成長マトリクスは製品・市場マトリクスとも呼ばれ事業拡大を製品と市場の2つの軸で表現しています。
既存の事業が成長している際に次の方向性として考えるのが以下の4つです。
- 市場浸透戦略:既存の製品を既存の市場でさらに多く売ることができないか
- 新製品開発戦略:既存の製品を別の市場に売ることができないか
- 新市場開拓戦略:既存の市場に別の製品を売ることができないか
- 多角化戦略:全く新しい製品を新しい市場に売ることができないか
最初の3つに関しては既存の製品、もしくは市場を利用するため拡大戦略と呼ばれています。
最後の1つだけは完全に新しい事業になるので多角化戦略と呼ばれています。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は経営資源の最適化を目的としており、市場成長率と相対的市場占有率を2軸として自社の事業をプロットしていく手法です。
PPMでは4つのカテゴリに分類されます。
- 問題児(Problem Child)
- 花形(Star)
- 金のなる木(Cash Cow)
- 負け犬(Dog)
各事業のキャッシュフローを明確にして金のなる木で得られるキャッシュを将来有望な問題児や花形の事業に投資できるかがポイントとなります。
製品ライフサイクル
製品ライフサイクルは製品が生まれてから衰退するまでの流れを4つの段階に表した考え方です。
- 導入期
- 成長期
- 成熟期
- 衰退期
時間の立つにつれて導入期 → 成長期 → 成熟期 → 衰退期の4つの段階を経ながらS字型のカーブを描くのが一般的な製品ライフサイクルとされています。
段階ごとに顧客の製品に関する理解度や顧客の数、競合の数などに大きく違いがあるので各段階ごとに最適なマーケティング戦略を打つ必要があります。
経験曲線効果
経験曲線効果とは製品の累積生産量が増加するにともない製品1単位あたりの生産コストが減少するという効果です。
一般的には1つの製品の生産量が2倍になるとコストが2〜3割も減少するとされています。
なぜコストが減少するかというと作業者の熟練度が上がったり、生産の仕組みや設備を改善するといった経験が蓄積されていくためです。
経験曲線効果は市場シェアが高い企業がコスト面で有利になります。
なぜなら他の企業よりも累積生産量が多くなり、作業者の熟練、改善の経験値などの蓄積量が多くなるためです。
さらにコストを削減できよりシェアと利益を高めていくことができます。
M&A
M&AというのはMerger and Acquisitionの略です。
Mergerが合併でAcquisitionが買収ですので合併と買収で企業が行う統合の手段です。
M&Aの目的として最も多いのはすでに確立された既存事業を手に入れることである程度の規模とコアコンピタンスを確保することができます。
これは一言でいうと『時間を買う』ことができると言えます。
自社で1から新しい事業を立ち上げるのは多くの時間がかかり、さらに失敗のリスクもあります。
一方でM&Aをすることでですでに一定の成果の事業を短時間に獲得することができ、リスクも抑えることができるのは大きなメリットです。
合併と買収は以下の形態に分けることができます。
- 吸収合併
- 新設合併
- 株式譲渡
- 事業譲渡
株式譲渡の一つであるTOBという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
最近ではコロワイドが大戸屋のTOBを行い、成功しました。
コロワイド、大戸屋への敵対的TOBをギリギリで成立させた「短期利益狙いの投機筋」
事業構造の再構築
最後に事業構造の再構築です。
これまでは事業をいかに複数もち拡大していくかを考えていましたが多角化して失敗した事業などを立て直すことも検討します。
方法としてはリストラクチャリングを行い自社にとっての付加価値が低いと判断した機能に関してはアウトソーシングを行うといった流れになります。
リストラクチャリング
リストラクチャリングは徹底した合理化、ダウンサイジングを行右ことで事業の競争力を高めます。
不採算の事業を削減したり、価値を生み出せていない機能に関してはアウトソーシングするなどの対応を行います。
ちなみに価値を生み出せているかなどの内部環境の分析をするにはバリューチェーン分析を利用します。
企業を取り巻く外部環境、顧客ニーズや技術革新などは時代によって変化していくため未来を見極め、常に最適な事業構造に見直していくことが重要です。
アウトソーシング
アウトソーシングは外部に業務を委託することです。
自社で生み出している価値が低いと判断した機能に関してはアウトソーシングすることでコストを削減しコアとされている機能に集中することができます。
最近では経理業務などをアウトソースするサービスがよくみられます。
経理業務は会社である以上必ずやらなくてはならないものの価値を生み出せている機能ではないのでアウトソースの需要はすごく高いと思われます。
一方でデメリットとしてアウトソースした業務のノウハウは蓄積されないことです。
アウトソースする際には自社で価値を生み出していないかを見定めてから実施する必要があります。