シナジーとは?シナジーの種類と効果、範囲の経済との違い

企業が自社の拡大をはかる際に事業間の関連を無視して多角化をすることは難しいです。

複数の事業を行う場合にはうまく関連させてシナジーを発揮させることが重要になってきます。

シナジーは相乗効果のことであり「1+1=2」ではなく「1+1=3」となることを意味します。

シナジーを発生させるためには複数の事業を行う必要があり、複数の事業を行う手法としては多角化やM&Aを行うことが一般的になります。

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シナジーとは?

シナジーは2つ以上のもの、人、事業などが相互に作用し合うことでより高い効果を得られること、相乗効果が得られると言います。

足し算ではなく掛け算的に効果が得られるというイメージです。

足し算は相補効果、コンプリメント効果と言われています。

経営戦略では1つの会社で複数事業をを行うことで事業間のシナジーが得られることでより多くの経済的効果が得られることを表しています。

事業の場合には既存の生産設備や販売経路、技術などがシナジー効果を得ることのできる要因となります。

シナジーの4つの種類と効果

シナジーの4つの種類と効果

シナジーには、主に以下の4つのものがあります。

  • 生産シナジー
  • マネジメントシナジー
  • 投資シナジー
  • 販売・流通シナジー

生産シナジー

既存の生産設備、原材料(仕入)、技術技術、生産ノウハウなどの利用によって生まれるシナジーです。

価格交渉力の強化や生産コストの削減が見込めます。

マネジメントシナジー

既存の経営管理能力の利用によって生まれるシナジーです。

より戦略的な経営の実施が行えるようになります。

各事業の経営陣が集めり各戦略を融合することでより優れた経営戦略の策定、実施が行えるようになります。

投資シナジー

既存の研究開発やノウハウなどの情報を利用によって生まれるシナジーです。

研究開発費用の強化や技術・ノウハウの複合が見込めます。

販売・流通シナジー

既存の販売組織、販売経路、倉庫、販売促進手法などの利用によって生まれるシナジーです。

クロスセリング・アップセリングや物流コストの削減が見込めます。

シナジーの効果を生み出すには?

シナジーの効果を生み出すには?

シナジーは2つ以上の事業を相互に作用させることによって相乗効果が得られますがどのようにして複数の事業を作ればよいでしょうか?

一般的には以下のような方法があります。

  • 多角化戦略
  • M&A
  • アライアンス

多角化戦略

多角化戦略は既存の製品と市場を利用する関連多角化と新規の市場に新たな製品を投入する無関連多角化があります。

関連多角化に比べると無関連多角化リスクが高いことがあげられます。

多角化を行うことでコストや売上、研究開発などでシナジー効果を狙い、リスク分散を行うことが狙いになります。

多角化の切り口として検討するためにアンゾフの成長マトリクスが使われ、事業の資源配分を検討するためにはプロダクト・マーケット・ポートフォリオが使われます。

M&A

M&AはMergers and Acquisitionsの略で企業の合併と買収のことです。

M&Aには以下の種類があげられます。

  • 合併
  • 買収
  • 事業譲渡

合併

合併は企業が他企業と互いの資本と組織を法律にのっとり一体化させることです。

1社を存続させる吸収合併と両方をいったん消滅させて新しい企業を新設する新設合併があります。

買収

ある企業が発行している株式を取得して子会社化したり新株発行増資を受けて会社の経営権を握る方法です。

事業譲渡

ある事業に関する資産を譲渡する方法です。

事業譲渡の対象は設備や建物、特許、ブランドなどが含まれます。

アライアンス

アライアンスは複数の企業が契約に基づいての提携を行い協力関係になることです。

合併、買収や事業譲渡と違い経営権の移転は伴わないのでコストが安くすみ、効果がない場合には解消することができます。

シナジーと範囲の経済性の違い

シナジーと範囲の経済の違い
シナジーと似た概念に範囲の経済性があります。

範囲の経済性は企業が複数の事業活動を行うことで1つの事業を行う時よりも経済的な事業活動が行えることです。

より経済的な事業活動とはコストが抑えることができるということです。

シナジーが「売上が1+1が3」になるイメージとしたら範囲の経済性は「コストが1+1が1.5」になるというイメージです。

複数の事業を行うことでより効率的に利益をあげることができるということは同じで、コストに着目しているのが範囲の経済性と言えます。

他に似た言葉に規模の経済性もありますのでよければあわせておぼえておきましょう。

動的なシナジーと静的なシナジー

シナジー効果の中でも時間に依存するのが動的シナジーで時間に依存しないのが静的シナジーです。

動的シナジーは組織学習や技術革新などによって生み出されるもので模倣困難性を持っています。

動的シナジーは時間と共に企業成長が大きくなり得られる効果も大きくなります。

企業は静的シナジーよりも動的シナジーの獲得を目指した方がよいでしょう。

シナジー - 中小企業診断士試験の過去問チェック

企業経営理論の平成26年 第5問をみてみます。

企業経営理論 - 平成26年 第5問

シナジー効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 動的なシナジーよりも静的なシナジーをつくり出せるような事業の組み合わせの方が望ましい。

イ 範囲の経済の効果とは別個に発生し、複数事業の組み合わせによる費用の低下を生じさせる。

ウ 複数事業の組み合わせによる情報的資源の同時多重利用によって発生する効果を指す。

エ 複数の製品分野での事業が互いに足りない部分を補い合うことで、企業全体として売上の季節変動などを平準化できる。

正解と解説 - 企業経営理論 平成26年 第5問

正解:ウ

アの内容

時間に依存するのが動的シナジーで時間に依存しないのが静的シナジーです。

時間の経過と共に効果が大きくなっていくので動的シナジーを獲得する方がよいです。

よってアは誤りです。

イの内容

範囲の経済が複数事業の組み合わせで費用の低下を生じさせることができます。

しかし前半の別個の部分ですがシナジーを求めた結果が範囲の経済も得られるというように別個に発生するわけではないです。

よってイの内容は誤りです。

ウの内容

シナジーは複数事業の組み合わせによって相乗効果が発揮されます。

情報的資源の同時多重利用によってシナジー効果は大きくなります。

情報資源とは顧客の信用、ブランド知名度、技術力、生産ノウハウ、組織文化などがあげられます。

よってウの内容は正しいです。

エの内容

複数の事業で足りない部分を補うことで得られる効果を相補効果、コンプリメント効果と言われています。

シナジーで得られるのは相乗効果です。

よってエの内容は誤りです。

『シナジーとは?シナジーの効果と種類、範囲の経済との違い』のまとめ

シナジーのポイントとしては以下のことがあげられます。

シナジーのポイント
  • 2つ以上の人、もの、事の組み合わせにより相乗効果が得ることができる
  • シナジー種類には生産、マネジメント、投資、販売・流通がある
  • シナジーを生み出す手法としては多角化戦略、M&A、アライアンスなどがある

シナジーは相乗効果のことであり「1+1=2」ではなく「1+1=3」となることをいいます。

シナジーの種類と生み出す手法などをおさえておきましょう。

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