VRIO分析とは?VRIO分析の4つの条件 競争優位を勝ち取る

内部環境を分析するためのフレームワークの一つにVRIO分析があります。

VRIO分析は企業が競争優位を勝ち取るために必要な条件を4つあげたものです。

各条件の単語の頭文字をとってVRIO分析となっています。

VRIO分析を行うことでこの企業は今後も市場で優位な状態を勝ち取ることができそうかを分析することができます。

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VRIO分析とは?

VRIO分析とはバーニーが提唱したフレームワークで持続的な競争優位を築くための経営資源を分析する手法です。

VRIOとは以下の4つの条件の頭文字を並べてものです。

  • Value:資源の価値
  • Rairity:希少性
  • Imitability:模倣困難性
  • Organizations:組織

これら4つの条件を全て満たした経営資源を持つことで持続的な競争優位を得ることができます。

価値があっても希少でないと他社と同等にしかならない。

希少でもすぐに模倣されてしまうのであれば一時的な優位で終わってしまう。

模倣が困難であっても活用できる組織がなければ経営資源の効果を発揮できない。

4つの全てが揃って初めて持続的優位性を得ることができます。

VRIO分析の4つの問いかけ

VRIO分析の4つの条件はVRIO分析の4つの問いかけともいわれています。

VRIO分析はValue、Rarity、Inimitability、Organizationの順番を意識することが重要になってきます。

例えばOrganizationは1番最後ですのでOrganizationだけが良くても他の3つができていないと競争優位がないと判断されます。

逆にValueだけが良い場合には競争優位が少しあると判断されます。

問の順番と回答に関する状態に関しては下記の図を参照してください。

VRIO分析の4つの問いかけ

Value:経営資源に価値があるか?

VRIO武石の4つの問いかけは始めに「経営資源に価値があるか?」と問いかけます。

「No」の場合は『競争劣位』となります。

「Yes」であっても『競争均衡』止まりです。

この場合の価値とは経済価値、社会的価値があるかという問いかけで経営資源を獲得するために必要とする費用ではありません。

顧客、社会に対して価値提供が行えているかを問われています。

Rairity:その経営資源は希少であるか?

次は「その経営資源は希少であるか?」の問いです。

「Yes」であれば『一時的な競争優位性』があります。

希少な経営資源とは業界内で手にすることがしづらい状態であると言えます。

例えば製品を製造するにあたり必要となる原材料が希少であり、希少な原材料を手にすることができるのが自社だけの場合だったときには『一時的な競争優位』を手にすることができます。

しかし原材料が希少でなく一般的になってしまうと他社も製造することができ、競争優位性は失われてしまうので『一時的な』と付いています。

Imitability:その経営資源は模倣が困難か?

次に問いかけは「その経営資源は模倣が困難か?」です。

「Yes」と答えられることで『持続的競争優位性』があると言えます。

ここまでくるとひとまずは競争優位を獲得しているという状態と言えそうです。

模倣困難性が高いほど同じ状態の品質にするまでに時間もかかりますし、参入障壁も高くなります。

例えば中小企業原材料メーカーの技術者が職人技を有している場合などです。

技術はすぐに真似することができませんし、職人が言葉にできない暗黙知などがあることが往々にしてあるため模倣が困難になります。

Organizations:経営資源を活かすことのできる組織体勢があるか?

最後の問いかけは「その経営資源を活かすことのできる組織体勢があるか?」です。

先ほどの模倣困難性、例えば職人技が完全に理解されてしまった、もしくは技術者に転職されてしまった場合には模倣することができてしまいます。

しかしその経営資源を活かすために組織的な取り組みが必要になるとしたら模倣困難な経営資源を手に入れたとしても活用できない可能性が高くなります。

組織的な取り組みとは長い時間をかけて醸成されてきており、組織文化とも呼べるものです。

例えばトヨタの生産管理手法は多くの書籍などで出ていますがすぐに真似することはできません。

それは組織文化として常にカイゼンするということが組織として根付いているからです。

何十年もかけて醸成されてきた組織体勢というのはとても強い競争優位を得ることができる要因となります。

VRIO分析とは?VRIO分析の詳細と事例 競争優位を勝ち取る - 中小企業診断士試験の過去問チェック

企業経営理論の平成30年度 第3問と平成29年度 第3問をみてみましょう。

企業経営理論 - 平成30年度 第3問

企業の経営資源に基づく競争優位を考察するVRIOフレームワークにおける模倣困難性は、持続的競争優位を獲得するために必要な条件とされている。

この模倣困難性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A社が、模倣対象のB社が保有する経営資源やケイパビリティと、B社の競争優位の関係を理解しているか否かは、A社がB社の模倣を行う時のコストに影響を与える要因にならない。

イ C社が、新規事業に必要不可欠な経営資源を、その将来における最大価値を下回るコストで入手した場合、競合会社D社が、C社より相当に高いコストでも同様の経営資源を獲得できる限り、C社の経営資源に模倣困難性はない。

ウ 最先端の機械Eを使いこなすために熟練技能者同士の協力関係が必要であり、かつ、熟練技能者同士の協力関係の構築に相当な時間とコストを必要とする場合、最先端の機械Eを所有しているだけでは、模倣困難性による持続的競争優位の源泉にはならない。

エ 相当な時間を要して獲得したF社のノウハウやネットワークが、優れた製品を生み出すための重要な要素で希少性もあり、また競合会社が短期間で獲得するにはコスト上の不利が働くとしても、F社の模倣困難性を持つ経営資源にはなりえない。

正解と解説 - 企業経営理論 - 平成30年度 第3問

正解:ウ

アの内容

模倣対象になるB社の経営資源、ケイパビリティを理解していないと模倣するのは難しいと考えることができます。

戦略だけを模倣しても組織運用がついてこないため結局はコストが高くなってしまいます。

よってアの内容は誤りです。

イの内容

D社はC社を模倣するにはC社よりも高いコストで経営資源を入手しなければいけません。

よってD社がC社を模倣すると必ずコストが高くなってしまうので模倣は困難であると考えられます。

よってイの内容は誤りです。

ウの内容

最先端の機械Eの性能を発揮するためには熟練技能者の必要になってきます。

最先端の機械Eを所有するだけでは模倣困難性にはなりません。

よってウの内容は正しいです。

エの内容

F社が有しているノウハウ、ネットワークを取得するためには時間がかかるかつ希少性があるのであれば模倣は困難であると言えます。

よってエの内容は誤りです。

企業経営理論 - 平成29年度 第3問

企業の経営資源に基づく競争優位性を考察する VRIO フレームワークに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 外部環境の機会を適切に捉え脅威を無力化する経営資源は、業界内において希少でないときに、企業の一時的な競争優位の源泉となる。

イ 希少で価値がある経営資源を保有する企業は、他の企業がその経営資源を別の経営資源で代替するコストが小さい場合、持続的な競争優位を確立する。

ウ 組織内の事務作業を効率化する固有のノウハウは、業界内で希少でない場合、企業の一時的な競争優位の源泉となる。

エ 独自に長い年月をかけて開発した価値ある経営資源を保有する企業は、その資源が業界内で希少でないとき、資源をいかす組織の方針や体制が整わない中でも持続的な競争優位を確立する。

オ 予測が困難な環境変化が起きない場合は、希少で価値があり模倣が難しい経営資源は企業の持続的な競争優位の源泉となる。

正解と解説 - 企業経営理論 - 平成29年度 第3問

正解:オ

アの内容

自社の経営資源が業界内で希少である場合には競争優位の源泉となるが希少でない場合は競争優位の厳選にはなりません。

よってアの内容は誤りです。

イの内容

希少で価値がある経営資源であっても他の経営資源で代替できてコストが小さいのであれば他社は代替資源で戦うことができ競争優位にはなりません。

よってイの内容は誤りです。

ウの内容

業界内で希少でないようなノウハウは他の企業も利用している可能性があり競争優位の厳選とはなりません。

よってウの内容は誤りです。

エの内容

長い年月をかけて開発した価値ある経営資源であっても業界内で希少でないのであれば他社も活用できる可能性があるため競争優位にはなりません。

またこの選択肢では希少であったとしても組織体制が整わないとの記載があるため競争優位の源泉にはなりません。

よってエの内容は誤りです。

オの内容

希少で価値があり模倣が難しい経営資源でかつ予測が困難が環境変化が起きないということであれば競争優位の源泉となります。

仮に予測が困難な環境変化が起きやすい前提であれば競争優位にならない可能性もあります。

よってオの内容は誤りです。

『VRIO分析とは?VRIO分析の4つの条件 競争優位を勝ち取る』のまとめ

VRIO分析についてのポイントは以下のとおりです。

VRIO分析のポイント
  • VRIO分析はValue、Rarity、Inimitability、Organizationの4つの条件で構成されている
  • VRIO分析の4つの問いかけで優位性があるかの判断を行う
  • VRIO分析の4つの問いかけは順番が大切、VRIOの順番
  • 最低でもVRIの条件が揃えば競争優位があると言える、VRIOの条件が揃えばさらなる利益拡大が狙える状態

VRIO分析はValue、Rarity、Inimitability、Organizationの4つ条件からできています。

そしてその4つを使った問いかけが重要になってくるのでぜひ自分の勤めてる企業で試してみると理解が深まりますのでおすすめです。

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