市場の細分化(セグメンテーション)ができたら次は何を行えば良いでしょうか?
市場の細分化(セグメンテーション)ができたら次はどの市場に対して販売するかを決めるターゲティングを行います。
ターゲティングを行うことで以下のようなメリットを得ることができます。
- 自社が答えるニーズや提供する価値が明確になる
- 企業の限られた資源を有効に使うことができる
ターゲティングの代表的な考え方にコトラーとエイベル、2人の考え方があります。
コトラーとエイベルのターゲティングの考え方の種類と内容についておさえておきましょう。
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ターゲティングとは?
ターゲティングはセグメンテーションを踏まえて対応するセグメントを決定することです。
ターゲットを定めることで以下2つのメリットがあります。
- 自社が答えるニーズや提供する価値が明確になる
- 企業の限られた資源を有効に使うことができる
自社が答えるニーズや提供する価値が明確になる
ターゲットを決めないで製品、サービスを売ろうとするとニーズがわからなくなります。
そして安いものを作るや品質がいいものを作るといった漠然として対応を取らざるおえなくなります、
漠然とした対応を回避するためにもターゲットを明確にして顧客ニーズの深い理解と集中した対応を行っていくことが重要です。
企業の限られた資源を有効に使うことができる
ターゲットが明確に定まっていないと製品の特徴がぼやけて販売やプロモーションに投下される資源が分散してしまう恐れがあります。
ターゲットを明確にすることでターゲット特有の購買行動や趣味嗜好に合わせた集中的な製品開発と販売促進が行えます。
コトラーのターゲティングの考え方
標的市場の選択手法として代表的なものにコトラーとエイベルの考え方があります。
コトラーは標的市場の選択パターンとして以下の3つをあげています。
- 無差別型マーケティング
- 差別型マーケティング
- 集中型マーケティング
無差別型マーケティング
無差別型マーケティングはセグメント感の違いを無視して単一の製品やサービスで市場全体の獲得を目的とします。
消費者ニーズの相違点ではなく共通点に着目して設定していくことになります。
企業は大量流通とマス広告を行い、多くの消費者の頭に製品のイメージを植え付けることが重要になってきます。
メリットとしてはマーケティングコストと製造コストが抑えることができます。
これはどちらもターゲットを選定しておらず製品のバリエーションを少なくできることからきています。
デメリットとしては全ての消費者を満足させることはほとんど不可能なことがあげられます。
多様なニーズが生まれている現代では次の差別型と集中型が多く採用されています。
差別型マーケティング
差別型マーケティングは細分化された市場セグメントをターゲットとして各々のセグメントに対して別々の製品やサービスを提供していきます。
これはリーダー企業のセオリーとして取られるフルライン戦略となります。
例えばトヨタ自動車は全てのセグメントに対応する車種、価格、チャネル、プロモーションを揃えています。
各市場セグメント内での売上を増大していきより強固なポジションを獲得するのが狙いとなります。
メリットとしては全てのセグメントに対応するため全体の売上が向上します。
一方でデメリットとして個別のマーケティングミックスの対応が必要になるためコストが大きくなります。
集中型マーケティング
最後の集中型マーケティングは特定のセグメントにターゲットを絞り込み、全ての経営資源を投入していく方法です。
中小企業のような経営資源が限られている場合に多く選択される手法となります。
これはニッチャー企業のセオリーとして取られる戦略となります。
集中型のメリットは限られた経営資源を有効に活用できることです。
一方でデメリットは市場に対してリスクを分散できないことです。
市場の状況悪化や大きな競合他社の参入などがあります。
エイベルのターゲティングの考え方
エイベルは標的市場の選択パターンとして以下の5つをあげています。
- 単一セグメント集中型
- 製品専門型
- 市場専門型
- 選択的専門型
- 全市場浸透型
単一セグメント集中型
単一セグメント集中型は1つの市場に1つの製品を集中投下する手法です。
1つの市場に対して集中するため対象の市場内では強力な影響力を持つことが可能になります。
コトラーの集中型マーケティングと同様のメリットとデメリットを得ることができます。
製品専門型
製品専門型は1つの製品を複数の市場に対して投入する手法です。
特定の製品分野において成功を収めることでどの市場に対しても強力な影響力を持つことができます。
一方でテクノロジーの進化などにより強力な代替品が出現した場合には大きな危機に直面する可能性があります。
市場専門型
市場専門型は1つの市場に対して複数の製品を投入する手法です。
特定の顧客層の多様なニーズに答えることができるラインナップを用意することができるため高い支持を得ることができます。
一方で特定の顧客の予算に大きく依存するため、対象の顧客に対して不利な状況になったりした場合に売上が大きく落ち込むリスクがあります。
選択的専門型
選択的専門型は複数の市場を選択して各々の市場での共通点がありません。
各々の製品の関連度が低く、ターゲットする顧客も違うためリスクの分散が行えます。
全市場浸透型
全市場浸透型は全ての顧客に対して製品を提供する方針です。
基本的にはコトラーの無差別型もしくは差別型マーケティングと同様の考え方になります。
単一の製品を全ての市場に向けたり、各々の市場に適した製品を投入する戦略をとります。
ターゲティング - 中小企業診断士試験の過去問チェック
平成29年度 第30問 設問1をみていきます。
平成29年度 第30問 設問1
第30問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
マーケターがその活動の場として選択する市場は、①「ターゲット・マーケット・セグメント」
あるいは対象市場、標的市場などと呼ばれる。どのような市場セグメントをターゲットとするかは、企業の戦略や資源・能力の多様性に関連している。
また、②「ターゲットとする市場セグメントの選択パターンは、マーケターが対象とする製品と市場、あるいはそのいずれかの選択に依存する。」(設問1)
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。ア A社は、面や胴、小手、剣道着、はかまといった剣道用品を総合的に企画・生産するメーカーである。同社は、幼児・小学生、中高生、大学生・一般といった年齢を変数とした市場セグメントのそれぞれに適した製品群を生産している。これは、選択的専門化によるターゲティングの代表例である。
イ 老舗の豆腐製造業者B社4代にわたって、家族従業者だけで豆腐の生産に携わっている。豆腐の販売先は、大都市に立地する日本酒バー数店舗のみである。これは、製品専門化によるターゲティングの典型例である。
ウ タオルメーカーのC社は、同社のランドマーク商品である、手触りのよいハンドタオルシリーズのブランドによって、高級ホテルやレストラン、スポーツジム、贈答品専門店など幅広いターゲットに対する働きかけを行っている。これは市場専門化によるターゲティング・アプローチである。
エ ハンドメイドのスポーツ自転車を製造・小売するD社は、小さな製造小売事業所S店舗を通じて、ファッション性と堅牢度の高い製品を提供している。製品は洗練されたデザインを持つが、競技指向や機能性指向とは対照的な、ファッション性を求める市場セグメントがターゲットである。これは、集中によるターゲティングである。
正解:エ
アの内容
A社が扱っているのは剣道用品という1つの製品と考えることができる。
剣道用品を多様な顧客層に対して販売する手法は選択的専門化ではなく製品専門化によるターゲティングと言えます。
よってアの選択肢は誤りです。
イの内容
B社が扱っているのは豆腐という1つの製品と考えることができる。
販売先は大都市に立地する日本酒バー数店舗のみと単一の市場と捉えることができるため製品専門化ではなく単一セグメント集中型と言えます。
よってイの選択肢は誤りです。
ウの内容
C社が扱っているのは手触りのよいハンドタオルという1つの製品と考えることができる。
販売先は高級ホテルからレストラン、スポーツジムに贈答用と様々な顧客に対して販売されている。
市場を絞り込んでいるわけではないので市場専門家でなく製品専門化によるターゲティングと言えます。
よってウの内容は誤りです。
エの内容
D社はハンドメイドでファッション性と堅牢度の高い製品を作っており、機能性を重視する層とは違いファッション性を求める特定の顧客層をターゲットとしています。
これは単一セグメント集中型、集中によるターゲティングと言えます。
よってエの内容は正しいです。
『顧客の絞り込みを行うターゲティングとは?セグメンテーションの次はターゲティング』のまとめ
ターゲティングのポイントとしては以下のとおりです。
- ターゲティングはセグメンテーションを踏まえて対応するセグメントを決定すること
- ターゲティングをすることで「自社が答えるニーズや提供する価値が明確になる」、「企業の限られた資源を有効に使うことができる」の2つが得られる
- コトラーのターゲティングの考えには差別型マーケティング、差別型マーケティング、集中型マーケティングの3つがある
- エイベルのターゲティングの考えには単一セグメント集中型、製品専門型、市場専門型、選択的専門型、全市場浸透型の5つがある