マーケティングと言われるとなんとなく販促的なことを頭に思い浮かべてしまいます。
しかしマーケティングとはもっと大きな意味を持っていることがAMA、アメリカ・マーケティング協会や経営学者の言っていることからわかります。
さらにマーケティングの定義、マーケティングのコンセプトは不変の物ではなく時代とともに移り変わっていることが特徴です。
供給量が少なく需要が多かった時代とものがあふれており多くのニーズが満たされている現代とでは考え方が大きく変わっています。
時代の流れとともにマーケティングの定義とマーケティングのコンセプトがどう変わっていったかを解説していきます。
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AMA(アメリカ・マーケティング協会の定義)のマーケティングの定義
AMAとは、AMERICAN MARKETING ASSOCIATION(アメリカマーケティング協会)のことで1937年に設立されています。
3万人以上の会員がマーケティング分野で活動、指導、研究している最も大きい組織の一つと言えます。
AMAはマーケティングの定義を公表しており、今までに何度か改定されていますが直近の2004年と2007年について見てみます。
2004年
マーケティングとは組織的な活動であり、顧客に対し価値を創造し価値についてコミュニケーションを行い、価値を届けるための一連のプロセスであり、さらにまた組織及び組織のステークホルダーに恩恵をもたらす方法で、顧客関係を管理するための一連のプロセスである。
2004年の定義では顧客との関係やコミュニケーションと言った言葉を入れておりステークホルダーとの関係を価値として意識していることがわかります。
2007年
マーケティングとは、顧客、クライアント、パートナー、さらには広く社会全体にとって価値のあるオファリングス(提供物)を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
2004年の定義ではマーケティングの対象をステークホルダー、顧客やパートナーなどの利害関係者としていました。
2007年の定義では広く社会一般を対象としている点が特徴としてあげられます。
コトラーとドラッカーのマーケティングの定義
AMAが公表しているマーケティングの定義の他に経営学者として有名なコトラーとドラッカーの定義もみてみます。
コトラーのマーケティングの定義
マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである
抽象度が高くて難しいですね。
私は「欲しいと思われているものを作って結びつけるプロセスだよ」という超訳をして納得しています。
コトラーはマーケティングを理解するためのコンセプトして以下のことをあげています。
- ニーズ:人間が感じる欠乏状態
- 欲求:ニーズの表現であり、それを満足させるものの名前で表される
- 需要:欲求は購買力を伴って需要となる
- 製品:ニーズや欲求を満足させるもので市場に提供されるもの
- 交換:代わりに何かを提供することにより欲しいものを人から獲得する行為
- 取引:マーケティングの交換の測定単位
- 市場:ある製品の現実の購買者、潜在的な購買者の全ての集合
ドラッカーのマーケティングの定義
マーケティングの究極の目標は、セリングを不要にすることである
ドラッカーの定義はシンプルで力強いですね。
自ら営業という行為をするのではなく仕組みを作ってものが売れている状態を作ることが重要であると言ったことが伝わってきます。
マーケティングコンセプトとは?
マーケティングコンセプトはマーケティングの基本的な考え方で時代によって移り変わっています。
マーケティングコンセプトの種類は以下のとおりです。
- 生産志向
- 製品志向
- 販売志向
- 顧客志向
- 社会志向
マーケティングコンセプト - 生産志向
最初のコンセプトは生産志向です。
生産志向は需要が供給を上回っていた時代のマーケティングコンセプトです。
シーズ志向で製品ありきで考えられています。
またこの時代はフォードが大量生産の仕組みの導入をはじめた頃です。
モノが不足していたので作れば作るだけ売れる時代だったのでいかに生産性を向上させるかが経営の鍵となっていました。
マーケティングコンセプト - 製品志向
次のコンセプトは、製品志向です。
生産性が高まることで需要が供給に追いついてきます。
ただ作るだけでなくいかにより良い製品を作り改良することで顧客に買ってもらうコンセプトが製品志向です。
良い製品であれば買ってくれるはずだという考えのもと生産するため顧客のニーズとかけ離れたものを開発してしまうと言った恐れがありました。
マーケティングコンセプト - 販売志向
次のコンセプトは、販売志向です。
製品を大量生産することが可能になった段階でのマーケティングコンセプトです。
大量に生産した製品を大量に販売することを求められていました。
いかに効率的に販売するかセリングを重視する考え方です。
押し売りのような販売方法が横行してしまうことが問題となりました。
マーケティングコンセプト - 顧客志向
次のコンセプトは顧客志向です。
顧客志向は供給が需要を上回り企業間の競争が激化した成熟市場におけるマーケティングコンセプトです。
顧客志向は市場、顧客のニーズを探り、ニーズを満たす製品を開発、提供していこうという考え方です。
前述した販売志向が製品を売りさばくプロダクト・アウトと呼ばれており、顧客志向はマーケット・イン(ニーズ志向)と呼ばれています。
現代のように成熟した市場では顧客思考が主流になっています。
マーケティングコンセプト - 社会志向
最後のコンセプトとして社会志向があります。
社会志向は企業の利益の追求だけでなく社会全体に対する責任、貢献などの影響を考慮しようという考え方です。
例えば顧客に求められており利益があげられるとわかっていても地球環境に対して悪い影響を与えるものであれば販売しないと言ったようなことです。
マーケティングの定義、マーケティングコンセプト - 中小企業診断士試験の過去問チェック
企業経営理論の平成22年度 第28問(設問2)と(設問 3)をみてみます。
企業経営理論 - 平成22年度 第28問(設問2)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
マーケティングは、極めて実践的な概念であるため、マーケティングの活動主体となる組織・機関の範囲や、それらを取り巻く環境の変化を受け、これまでにもその定義がしばしば改定されてきた。アメリカ・マーケティング協会による近年の定義として、以下2004年のものと2007年のものが挙げられる。
(2004年の定義)
「マーケティングとは、顧客価値を創造・伝達・提供し、組織とその[A]の双方を利する形で顧客との関係性を管理するための組織機能と一連のプロセスのことを指す」(2007年の定義)
「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらには広く[B]一般にとって価値のあるオファリングスを創造・伝達・提供・交換するための活動とそれに関わる組織・機関、および一連のプロセスのことを指す」(設問2) 文中の空欄Bにあてはまる最も適切なものはどれか。
ア 環境
イ 国民経済
ウ 社会
エ 組織・個人
オ 文化
正解:ウ
AMAによる2007年のマーケティングの定義の特徴として広く社会一般を対象としている点がありました。
よって選択肢の「社会」であるウが正しいです。
2004年のマーケティングの定義ではステークホルダーをマーケティングの対象としていました。
企業経営理論 - 平成22年度 第28問(設問3)
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
マーケティングは、極めて実践的な概念であるため、マーケティングの活動主体となる組織・機関の範囲や、それらを取り巻く環境の変化を受け、これまでにもその定義がしばしば改定されてきた。アメリカ・マーケティング協会による近年の定義として、以下2004年のものと2007年のものが挙げられる。
(2004年の定義)
「マーケティングとは、顧客価値を創造・伝達・提供し、組織とその[A]の双方を利する形で顧客との関係性を管理するための組織機能と一連のプロセスのことを指す」(2007年の定義)
「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらには広く[B]一般にとって価値のあるオファリングスを創造・伝達・提供・交換するための活動とそれに関わる組織・機関、および一連のプロセスのことを指す」(設問3)以下のア~エは、2004年の定義と比べたとき、2007年の定義にはどのような特徴があるかを記述したものである。このうち、最も不適切なものはどれか。
ア 2007年の定義に含まれる「交換」という言葉は、単発的な取引を通じて、組織や機関が収益をあげることを意味する。
イ 2007年の定義は、「透明性」・「より広い参加者」・「継続性」の3つの観点の重要性を示唆している。
ウ 2007年の定義は、持続可能性の視点を、より明確に示したものである。
エ 2007年の定義は、マーケティングを「組織・機関の中の一部門による機能」ではなく、「より広い組織・機関全体の活動」として位置付けている。
正解:ア
アの内容
2007年の定義の特徴は広く社会一般を対象としている点でした。
交換という単語は単発的な取引を通じて組織や期間がだけが収益をあげるという意味ではありません。
よってアの内容は誤りです。
イの内容
2007年の定義の特徴は広く社会一般を対象としている点から「透明性」・「より広い参加者」・「継続性」の3つが重要視されていることがわかります。
よってイの内容は正しいです。
ウの内容
イの内容と同様の理由からに持続可能性の観点をより明確にしていると言えます。
よってウの内容は正しいです。
エの内容
2007年の定義の特徴は広く社会一般を対象としている点でした。
2007年のマーケティング定義の位置付けは「組織・機関の中の一部門による機能」ではなく、「より広い組織・機関全体の活動」と言えます。
よってエの内容は正しいです。
『マーケティングの定義とマーケティングコンセプトとは?』のまとめ
マーケティングの定義とマーケティングコンセプトのポイントは以下のとおりです。
- マーケティングの定義は時代とともに変化している
- 直近の定義では対象を社会まで広げていることが特徴
- マーケティングコンセプトはマーケティングの基本となる考え方
- マーケティングコンセプトは時代とともに移り変わっている
- いかに効率よくものを作るか → いかによりものを作るか(プロダクトアウト) → いかに求められているものを作るか(マーケットイン)という流れで志向が変わっていっている
マーケティングの定義、マーケティングコンセプトは時代とともに変化しているということがポイントだと思います。
なぜ現代で顧客志向が大切だということもこのような時代の変遷があり今に至っていたのですね。