カンパニー制組織とマトリックス組織の特徴とメリット、デメリット

中小企業で最も採用されているのは機能別組織と事業部制組織でした。

企業がもっと拡大し多角したことによりさらに迅速な意思決定をしたいと思っている企業が採用するのはカンパニー制です。

カンパニー制は事業部制組織をさらに独立採算主義を強くしたもので事業が多角化している大企業に見られます。

またリソースは少ないものの関連した事業がいくつもあるような企業の場合にはマトリックス組織が採用されます。

マトリックス組織は機能別組織と事業部制組織を組み合わせ両方のメリットを得ようとする組織構造です。

カンパニー制組織とマトリックス組織の特徴とメリット、デメリットについて解説していきます。

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カンパニー制組織

カンパニー制組織

カンパニー制とは、事業部制組織のもつ独立採算主義をさらに徹底し分権化したものです。

事業が多角化した大企業でよく見られます。

トヨタも2016年にカンパニー制を導入しています。

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事業部制組織のときは事業部はプロフィットセンターとして利益に責任を持っていましたがカンパニー制は独立した企業として考えるので利益だけでなく投資にも責任を持ちます。

これをインベストメントセンターとよびます。

損益計算書だけでなく貸借対照表にも責任を持つということです(バランスシート経営)。

カンパニー制組織のメリット

カンパニー制組織として大きなメリットは経営責任が明確になり投資の権限も持っているので事業の意思決定が迅速に行えます。

カンパニー制組織のメリットは以下のようなことがあげられます。

カンパニー制組織のメリット
  • 経営責任が明確になる
  • 事業の意思決定が迅速に行える
  • 経営者の育成が行える

カンパニー制組織のデメリット

カンパニー制組織のデメリットとしてカンパニーの発言力が強くなった場合に本社のコントロールが利かなくなってしまうことがあります。

結果、全社で見たときの事業間のシナジーを発揮できず全体での業績があまり向上しないということがあります。

カンパニー制組織のデメリット
  • 事業間のシナジーが発揮できなくなる
  • 本社が上司として存在するため厳密なインベストセンターとしての経営が難しい

マトリックス組織

マトリックス組織

マトリックス組織とは横断型組織あるいは格子型組織のことで機能別組織と事業部制組織のもつメリットを同時にねらった組織構造です。

環境の不確実性が高く、少ない資源を複数の製品間で共有しなくてはならない場合に採用される。

範囲の経済をいかに効かせることができるかがポイントとなる組織構造でもあります。

マトリックスのメリット

マトリックス組織のメリットは機能別組織と事業部制組織のメリットを同時に得ることができることです。

機能別組織の専門性と事業部制組織の現場の状況に即応した意思決定の早さを得ることができます。

マトリックス組織のメリットは以下のようなことがあげられます。

マトリックス組織のメリット
  • 機能別組織と事業部制組織のメリットを同時に得ることができる
  • 人的資源の共有ができる
  • 情報共有をうまく行うことで情報処理のスピードアップが期待できる

マトリックス組織のデメリット

マトリックス組織のデメリットは複雑さにあります。

組織図を見てわかるように格子型になっているため1人の従業員から見た際に2つの部門に所属し複数の上司が存在します。

命令系統が不明確になり、管理者同士での意見の対立などが起きやすいことがあげられます。

マトリックス組織のデメリットは以下のようなことがあげられます。

マトリックス組織のデメリット
  • 上司が複数になってしまうワンマンツーボスシステムになり組織間で衝突が発生しやすくなる
  • 命令系統が不明確になり責任の所在が曖昧になる
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カンパニー制組織とマトリックス組織 - 中小企業診断士の過去問チェック

企業経営理論の平成29年度 第5問と平成20年度 第11問 設問3をみてみましょう。

企業経営理論 - 平成29年度 第5問

日本企業には、社内分社化であるカンパニー制や持株会社を導入して戦略性を一層高めようとした企業が見られる。カンパニー制と持株会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア カンパニー制は、企業グループ内の個々の業態ごとに採用できるが、同一業界でのカンパニーごとの個別最適を許容すればカニバリゼーションの助長につながりうる。

イ カンパニー制は、主要な事業の特定製品やブランドについての管理者をおき、その製品やブランドに関する戦略を策定し、販売活動を調整して統合する機能を持つ。

ウ カンパニー制は、通常、多角化戦略によって事業領域を拡大する際、不確実性の高い新事業を切り離して法人格を持つ別会社として制度的に独立させ、本業や既存事業におよぼすリスクを軽減する。

エ 純粋持株会社は、株式の所有対象としている企業グループ全体の戦略策定と個々の事業の運営を統合して行えるメリットがあり、傘下の企業の経営戦略を標準化し、集中的に管理する制度である。

オ 純粋持株会社は、通常、企業グループ全体の効率的な資源配分が可能となり、雇用形態や労働条件の設定を標準化する機能を持つ。

正解と解説 - 企業経営理論 平成29年 第5問

正解:ア

アの内容について

各カンパニーの個別最適を許容すると独自で儲かる事業を行う可能性があり、カニバリゼーションを助長することに繋がる。

アの記述は正しいです。

イの内容について

事業ごとに管理者をおいて戦略を策定するのは事業部制組織の方が近いです。

カンパニー制は事業部制よりも独立採算制が強いため販売活動などの調整、統合は低下します。

よってイの記述は誤りです。

ウの内容について

カンパニー制は法人格を持つ別会社として独立するわけではないです。

記述の内容はカンパニー制でなく持株会社の内容です。

よってウの記述は誤りです。

企業経営理論 - 平成20年度 第11問 設問3

企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functionalorganization)、事業部制組織(divisionalorganization)、マトリックス組織(matrixorganization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。

これに関して、下記の設問に答えよ。

(設問3)機能部門-事業部門からなる恒常的なマトリックス組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア マトリックス組織が有効に機能するためには、複数の命令系統に柔軟に対応し、コンフリクトを創造的に解決する組織文化の裏付けが必要である。

イ マトリックス組織では、機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限を持つので、従業員は2人の上司の管理下におかれ高いストレスを感じる。

ウ マトリックス組織では、主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネジャーのコンフリクトが発生しやすいので、トップマネジメントの情報処理負担は大きくなる。

エ マトリックス組織は、環境変化の速い複数の非関連事業に多角化した企業が、複数の事業部にまたがる横断的調整機能を導入したものである。

オ マトリックス組織は、現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業活動を制約してしまうため、主に本社機構に導入される傾向がある。

正解と解説 - 企業経営理論 平成20年度 第11問 設問3

正解:ア

アの内容について

マトリックス組織のデメリットとして上司が複数になってしまうワンマンツーボスシステムになり組織間で衝突が発生しやすくなることがあげられます。

組織間のコンフリクトを解消できる組織文化があるのであればマトリックス組織のメリットを十分に得ることができます。

よってアの記述は正しいです。

イの内容について

機能マネージャーには機能に関する権限が事業マネージャーには事業に関する権限が付与され同じ内容の権限を持つわけではないです。

よってイの記述は誤りです。

ウの内容について

事業マネージャーと機能マネージャーのコンフリクトが発生しやすいのはマトリックス組織のデメリットです。

しかしコンフリクトの調整を行うのはあくまでマネージャーが行うことであってトップが行うことではありません。

よってウの記述は誤りです。

エの内容について

マトリックス組織は少ない資源を複数の製品間で共有しなくてはならない場合に採用されることが多く、範囲の経済を効かせることがポイントになります。

非関連事業の場合には範囲の経済を発揮できないためマトリックス組織にする効果は低いです。

よってエの記述は誤りです。

オの内容について

マトリックス組織は現場での事業感覚が重要である組織に導入することでスピード感のある事業展開が行えることがメリットです。

本社機構に導入する傾向という部分は間違いです。

よってオの内容は誤りです。

『カンパニー制組織とマトリックス組織の特徴とメリット、デメリット』

カンパニー制組織のポイントとしては以下のようなことがあげられます。

カンパニー制組織のポイント
  • 事業が多角化している大企業に採用されることが多い
  • 責任が明確になり意思決定が迅速に行える
  • カンパニー間でシナジーが発揮できなくなることに注意が必要

マトリックス組織のポイントとしては以下のようなことがあげられます。

マトリックス組織のポイント
  • 関連した事業であれば少ない資源を活用できる
  • スピード感のある事業展開が行えるので不確実性の高い市場でも対応できる
  • ワンマンツーボスになるので部門間のコンフリクトが発生しやすい

カンパニー制は事業部制組織よりもさらに独立採算主義を徹底したもので大企業に採用されやすく、マトリックス組織は少ない資源を関連している事業を持っている企業に採用されます。

機能別組織と事業部制組織に比べるとあまり馴染みがないので少し混乱するかもしれませんが上記のポイントをまずおさえてイメージを定着させておきましょう。

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