ハーズバーグの二要因論とは?給料だけあげてもモチベーションは上がらない

ハーズバーグは マクレガーが示した高次の欲求を満たすためには職務に関連した動機づけが必要であるということが実証研究によって一層明確にされた。

研究によってわかったことは職務によって満足をもたらす要因と不満をもたらす要因があることがわかった。

満足をもたらす要因を『動機づけ要因』とよんでおり、不満をもたらす要因を『衛生要因』と呼ばれています。

動機づけ要因には達成感や責任など、衛生要因には給与や人間関係があげられます。

給料をあげることは不満を解消することにはなってもモチベーションをあげることはできないと考えられています。

組織を活性化し健全にしていくには『動機づけ要因』を積極的に改善していくことが重要とされています。

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ハーズバーグの二要因論の特徴 動機づけ要因と衛生要因

ハーズバーグはピッツバーグにおける実験によって、職務には人を満足させる要因と不満をもたらす要因があることを発見しました。

  • 動機づけ要因
  • 衛生要因

ハーズバーグは高次の欲求を追求する者に対しては『衛生要因』を改善するだけでは動機づけにつながらないとし『動機づけ要因』を改善する必要があるとしています。

動機づけ要因

組織構成員の積極的態度を引き出す要因。

マズローの高次の欲求段階に相当する欲求と言えます。

以下のようなものがあげられます。

  • 達成感
  • 承認
  • 仕事の内容
  • 仕事への責任
  • 昇進

衛生要因

不満を防止することはできるが積極的態度を引き出すことにはほとんど効果がない要因。

医学的に使う衛生という言葉が病気を防ぐ効果はあるが病気を積極的に治す力は無いということから名づけられています。

また逆に必ずしも不満足を解消せずともモチベーションを高めることはできるとしています。

以下のようなものがあげられます。

  • 会社の方針
  • 上司の監督
  • 給与
  • 人間関係
  • 労働条件
  • 作業環境

ハーズバーグの二要因論の具体的な方法

ハーズバーグは人間の高次の欲求を満たすためには動機づけ要因を積極的に改善していかなければいけないとしています。

動機づけ要因の積極的な改善として『職務充実(ジョブエンリッチメント)』をあげています。

職務充実とは仕事に計画、準備、統制といった内容を加えて責任や権限の範囲を拡大します。

仕事そのものを質的に充実させ仕事の幅を広げようとする方法です。

職務の質的・垂直的な拡大であると言えます。

職務充実(ジョブエンリッチメント)

ハーズバーグの二要因論 - 中小企業診断士の過去問チェック

マクレガーのX理論・Y理論が問いとして扱われている企業経営理論の『平成19年度 第15問』と『平成29年度 第16問』を見てみます。

企業経営理論 - 平成19年度 第15問

組織における個人のモチベーションに影響を与える内的要因として欲求理論がある。欲求理論に関する記述として最も適切なものはどれか。

ア アルダファーが提唱したERG理論は、欲求を存在欲求・関係性欲求・成長欲求の"つの次元に分類し、低次の欲求が満たされないと高次の欲求はモチベーション要因とはならないと主張した。

イ ハーズバーグが主張した!要因論によれば、動機づけ要因と衛生要因には高い相関関係があり、衛生要因を充足しなければモチベーションは起こらないという。

ウ マグレガーは、管理者が部下に対して持つ人間観の理念型として、X理論・Y理論を提唱し、Y理論に従うと、部下を意思決定に参加させる方が仕事への意欲が高まるとした。

エ マクレランドは、欲求を達成欲求・権力欲求・親和欲求に分類し、達成欲求の高い従業員が優れた管理職になると主張した。

オ マズローが主張した欲求階層説によれば、自己実現など上位の欲求のほうが、モチベーション要因として強く作用するという。

正解と解説 - 企業経営理論 平成19年度 第15問

正解:イ

ハーズバーグの特徴として動機づけ要因と衛生要因の2つがあり、それぞれが独立しているとしています。

よって記述にある高い相関関係があるというのは間違いで選択肢イは誤りになります。

企業経営理論 - 平成29年度 第16問

モチベーション理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア A. マズローの欲求段階説は、多様な欲求が同時に満たされることによって、個人のモチベーションが階層的に強まっていくことを提唱した。

イ D. マクレガーのX理論とY理論は、個人は肯定的側面と否定的側面の両面を併せ持つことを示し、状況に応じてモチベーションを刺激する組み合わせを変化させる必要性があることを提唱した。

ウ D. マクレランドの三欲求理論によれば、報酬や社会的な成功よりも個人的な達成感を強く求める人は、自分の能力を超えたチャレンジングな仕事を好み、他者と親和的な関係を結ぶリーダーになろうとする傾向を持つことを提唱した。

エ F. ハーズバーグの二要因理論では、従業員が不満足を知覚する衛生要因と、満足を知覚する動機づけ要因を独立した要因として捉え、必ずしも不満足を解消せずとも、モチベーションを高めることができることを提唱した。

オ V. ブルームの期待理論によれば、モチベーションは将来に対する合理的な計算として捉えられ、特定の努力によって実現される目標の期待値と、目標を実現することによって得られる報酬の期待値の総和として把握できることを提唱した。

正解と解説 - 企業経営理論 平成29年度 第16問

正解:エ

ハーズバーグは動機づけ要因と衛生要因はそれぞれが独立しているとしています。

2つの要因は独立しているため不満を解消しなくともモチベーションを高めることは可能です。

よってエの記述は正しいです。

ハーズバーグの二要因論のまとめ

ハーズバーグの二要因論として押さえておきたいのは以下のポイントです。

  • 満足をもたらす要因を『動機づけ要因』
  • 不満をもたらす要因を『衛生要因』
  • 2つの要因はそれぞれ独立している

モチベーションをあげるためには『動機づけ要因』を必要とし、必ずしも不満を解消しなくてもあげることはできます。

自身の働いた時のことを思い出しても思い当たることがあるため理解しやすい理論だったのではないでしょうか。

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