決算書から企業の生産性を分析しよう 固定資産の活用がポイント

上司から「もっと生産性をあげよう」なんて言われることはありませんか?

そもそも生産性とはなんでしょうか?

一般的には『アウトプット(産出力) ÷ インプット(投入量)』が生産性と呼ばれるものです。

企業の生産性も同様に求めることができますがアウトプットは何になるでしょうか?

企業のアウトプットは付加価値とすることができます。

企業が生み出している付加価値がわかれば生産性を求めることができるようになります。

この記事では企業の生産性の求め方、どうすれば生産性が向上するのかを解説していきます。

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企業の生産性とは?

生産性とは企業が投入した資本、労働力、原材料などの生産要素、インプットとそれらの生産要素を使って出来た産出量、アウトプットを比較したものです。

生産性を一言でいうと『投入したものがどれだけ多くの新たな価値を生み出したか』と言えます。

アウトプット(産出力) ÷ インプット(投入量) = 生産性

付加価値とは?

生産性の分子である産出量は具体的には何かというと一般的には付加価値が使われます。

付加価値とは企業が仕入れた原材料などに対して企業内で生み出した新たな価値と言えます。

付加価値の大きさが会社の存在価値の大きさと言っても良いでしょう。

中小企業庁が定義している付加価値は以下のとおりです。

営業純益(※1) + ⼈件費(※2) + ⽀払利息等 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課 = 付加価値
※1:営業利益−⽀払利息等
※2:役員給与 + 役員賞与 + 従業員給与 + 従業員賞与 + 福利厚⽣費

めちゃくちゃわかりづらいですね。

もっとさくっと割り出したいという場合には以下のようになります。

売上高 ー 外部購入費用 = 付加価値

小売業などではほとんどの外部購入費用が仕入れになるので『付加価値 = 粗利益(売上高総利益)』と割り切ってしまってもいいでしょう。

労働生産性と資本生産性

生産性を分析するには主に2つの指標を使います。

  • 労働生産性
  • 資本生産性

労働生産性

労働生産性は1人あたりどれだけ付加価値を生み出せたかをみる指標です。

以下の式にて計算することができます。

付加価値 ÷ 従業員の数 = 労働生産性

資本生産性

資本生産性は付加価値をどれだけの生産設備で生み出せたかをみる指標です。

以下の式にて計算することができます。

付加価値額 ÷ (有形固定資産 ー 建設仮勘定)

生産性向上のポイント

生産性向上のポイントを分析するために前述した指標をもう少し分解してみましょう。

労働生産性は以下のように分解することができます。

(付加価値 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 従業員の数) = 労働生産性

(付加価値 ÷ 売上高)は『売上高付加価値率』で(売上高 ÷ 従業員の数)は『1人あたりの売上高』となります。

このどちらかの数値を向上させることで生産性を向上させることができます。

固定資産を活用することで生産性を向上させる

前述した式の(売上高 ÷ 従業員の数)をさらに固定資産を使って分解し労働生産性を求めることができます。

(付加価値 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 固定資産) × (固定資産 ÷ 従業員の数) = 労働生産性
※固定資産は厳密には(有形固定資産 ー 建設仮勘定)

(売上高 ÷ 固定資産)は『固定資産回転率』で(固定資産 ÷ 従業員の数)は『労働装備率』となります。

固定資産回転率は固定資産が効率良く稼働し売上をあげることができているかの指標です。

高いほど資金が循環して固定資産が稼働していることを示しています。

労働装備率は従業員1人あたりにどれだけの設備が投資されているかの指標です。

数値が高いほど割り当てられておりオートメーションが進んでいると考えることができます。

『固定資産回転率』と『労働装備率』のいずれかの数値の向上、固定資産をいかに利用するかが生産性向上のポイントとしてみることができます。

『決算書から企業の生産性を分析しよう』のまとめ

企業の生産性を分析するポイントは以下のとおりです。

企業の生産性を分析するポイント
  • 生産性は『投入したものがどれだけ多くの新たな価値を生み出したか』でアウトプット(産出量) ÷ インプット(投入量)で求められる
  • アウトプット(産出量)は付加価値として分析する
  • 生産性の分析指標として労働生産性と資本生産性がある
  • 生産性の向上させるには固定資産をうまく活用することがポイントとなる

生産性の良い企業であれば今後さらに投資することで倍々に利益が増えていく可能性があります。

同業他社で比べることで生産性が高いのか低いのかがわかるようになってくるのでぜひ気になる企業のデータを使って試してみてください。

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